Wiiですが、さすがにPS2の倍以上の容量とパワーを誇るだけあって仕事がやりやすいです。PS2は同時代のGC(任天堂)やDC(セガ)と比べてもビジュアル容量の面で厳しいハードでした。そこで製作者は「見栄えを落とさないようにする努力」に大きな時間を割かれていたのですが、Wiiではその必要がなくなりました。
今後気になるのは作り手の意識改革です。
従来と同じアプローチだと、容量が多くなった分、作業量がリニアに増えてしまいます。
しかし、新しいハードに合わせた新しい考え方で製作を進めれば、従来と同じコスト(またはそれ以下のコスト)で、より訴求力の高い映像を作り出す事も出来るはずです。
またXBOX360のピクセルシェーダーなどの次世代表現ですが、これは日本人の要請で生まれた技術ではなく、メリケン人がメリケン人の為に、これまでの彼らの製作の方向性に沿って必要とされて生まれてきた物です。
それを理解した上で、無視するでもなく、かといって猿真似するでもなく、曇りの無い目で長所短所を見極めて、日本人なりに使いこなす事が出来れば非常に有効な技術だと思います。
次世代機が出てきた頃、「日本のゲーム会社は駄目だ。海外と比較して映像が見劣りする」と言われていました。
当時ぼく自身は自身の製作でブイブイ言わせていたので、そうは思わなかったのですが、最近は「確かにそうだな」と実感するようになって来ました。
次世代機が出てから大分経つのに、製作者側の志向は相変わらずPS2時代のままだな、と感じる事が多々あります。
そこら辺の発想の転換が見られるかどうかが、今後の日本のゲーム業界の盛衰の鍵なのではないか、と思います。
現在のハードの特性を正しく認識した上で「より効率の良いやり方で」「より訴求力のある画像を」そういう方向に向かってくれれば、ワシの商売も安泰というものです。
ですので、チャンスがあったら啓蒙活動もしていきたいです。
そういうわけで、某誌にまたも執筆してしまいました。
以上です。