さて、たまの趣味は子供が寝静まってからのテレビ観賞です。
だというのに、ぼくは自分だけが大型テレビを堪能している状況がずっと気になっていました。
子供達にも、大きな画面でジブリのアニメを見せてあげたいです。

そして昨年の冬はすごい働きました。
そこで、もう一個テレビを買うことにしました。

地デジとBDの鑑賞ならシャープのクアトロン（四原色のLED）が格別素晴らしいと思うのですが、ぼくの用途はゲームや通常のDVDが多いので、画像処理系の技術で頭ひとつ抜けている東芝を選択しました。
ついでに、ごく稀に番組を録画したくなる事があるので、テレビに録画できるタイプを選定する事にしました。

はい。
長い期間買わずに様子見をして粘っただけあって、とてもパフォーマンスの高いテレビが格安で売っていました。年末ですし。

しかし問題はここからです。
ぼくは店員さんに「これください」と言いました。
そうです、電気店で大きな物を買うには当然、店員さんに「これください」と言います。

すると店員さんは「HAHAHAお客さん、これを買うならもっといいヤツがありますよ？こっちこっち♪」と、妖しい森の妖精のように遠くまで引っ張っていきます。

見て噴きました。
倍です。
倍なのです。
ぼくが「これください」と言ったテレビの倍の値段なのです。

ぼくは心の中で「ちょ、この店員バ○じゃねえの？」と思いました。
店員さんは「ダイジョブ、チョト待っててクダサイ♪」と言い残し、その場をそそくさと後にしました。動揺するぼくとたまをその場に残して。

で、笑顔で戻ってきた店員さんはぼくの耳元で妖しく囁きました。
「○○円です」その値段は、なんと先程ぼくが「これください」と言ったテレビよりも千円安い値段です。

「あ・・・・」
皆さんはカイジをご存知でしょうか。
カイジは賭博のマンガで、賭博の最中に「人間は波間に光る交流電灯である」（宮沢賢治）とかいう領域まで踏み込んで人間のギリギリまでの心象描写をする漫画なのですが、ぼくもその刹那は、その領域まで足を踏み込んだ想いがしました。背景がぐにゃーっと歪みました。

もちろん即決です。

おかげさまで、たまと子供達にも大きなテレビでアニメや歌番組を見せてあげる事が出来てよかったです。

うーん、世の中は不思議ですね。
テレビ一個分に相当する差額がどこへ消えたのか、ぼくは不思議でなりません。